ACCA13区監察課(あっかじゅうさんくかんさつか)
作者:オノ・ナツメ
出版社: スクウェア・エニックス
掲載誌: 月刊ビッグガンガン
巻数:全6巻(2013/11/25 ~ 2016/12/24)、番外編既刊1巻(2017/05/25)
「ACCA13区監察課」は13の区からなるドーワー王国を舞台に、
監察課に属する主人公がクーデーター疑惑に巻き込まれるサスペンス漫画です。
全6巻で2016年末に物語は終了しており、2017年9月現在は番外編
『ACCA13区監察課 P.S.』を連載中です。
また、2016年度(2017年1月~3月)の冬にアニメ化もされています。
あらすじ
舞台となるのは13の特色ある区で構成されるドーワー王国です。
国王がいる君主制ではありますが、各区に地方自治制を認めています。
100年前に12の区が結束したクーデターが発生しましたが、話し合いで平和的に
解決し、その過程で政治とは独立した民間の組織、ACCA(あっか)が結成されました。
ACCAは、警察、消防、医療といった公共性の高い機関を管理する組織です。
そして、本作品の主人公、「もらいタバコのジーン」の愛称を持つ
ジーン・オータスはACCAの監察課副課長を務めています。
ジーンは監察課として各区の業務を監視する役割を果たしているのですが、
その周辺では、ACCA発足後は平和で安定した社会となっているとして監察課の
廃止を訴える声が挙がったり、一方でクーデターの噂が挙がったりと、
ジーンはその中に意図せず巻き込まれていくことになります。
魅力的なキャラクターについて
主人公のジーンはクールで秘密主義的なキャラクターとなっています。
感情を外に出さず寡黙であり、芯があるというハードボイルドな側面がある一方、
ルールを遵守したり、どんな人に対しても大人な振舞いをするという点では
ハードボイルドとは異なります。ただ、そういった特徴が物語の後半で大きな役割を
果たす意味で、この漫画内の主人公にふさわしいのかなと思います。
周囲を取り巻くキャラクターも、ジーンに隠れて何かをしている親友のニーノや、
ザ・キャリアウーマンとも言えるACCA本部長のモーヴといった魅力的な
キャラが多いです。
特徴的な表現技法
前述した独特の世界観と魅力的なキャラクターに加えて、作者のオノ・ナツメさんの
洒脱な絵の組み合わせがこの漫画をとても印象的にしています。
最初は良く言えば”クール”、悪く言えば”平坦”という印象を持ったため、
好みの差が明確に出る表現の漫画だとは思ったのですが、物語を読み進めていく、
この世界観的にはこの表現がベターなのかなとすんなりと受け入れられました。
この洒脱な感じについて、当初はその絵から静かな印象を受けたため、
「オノマトペ」(「ワンワン」「ガサガサ」といった擬音語を利用した表現)が
少ないのかと思ったのですが、見直してみるとそういうわけではありませんでした。
(むしろ、敬礼のポーズ時に「びしっ」って出てくるあたり多いかもしれません)
で、改めて印象的だと感じたことが
・コマ割でキャラクターがコマをはみ出して主張することがない
・動線や集中線がない
でした。
コマ割りを無視してキャラクターを描くことで立体感や迫力を追求するのはある種の
漫画だからこその魅力だと思うのですが、この漫画はそのメリットを放棄しています。
また、例えば空を飛んでいるヘリコプターであれば、動線を描くことで羽が
旋回しているように見せることができますが、本作品ではまるで羽が
停止しているように描かれています。
そういった部分がより絵に近い印象を受け、オシャレな感じになっていると思います。
(動線がないからこそタバコの煙やホットコーヒーの湯気が印象的です)
他の漫画やアメコミとも違った特徴的な絵もこの漫画の魅力の一つだと思います。
数字の"13"について
前々回記事、前回記事、今回とタイトルに"13"がつく作品を取り上げました。
"13"は西洋で忌み数として扱われるようですが、その諸説はいくつかあるようです。
個人的には12か月や12時間という生活に根付く数"12"に対して"13"は調和を乱す
数という説が好きなのですが、ユダの裏切り者説も好きです。
今回紹介したACCA13区監察課もなぜ13なのか、恐らくこれが理由だな
というのが作中でわかることになります。
ただ日本ではあまりなじみがないと思いますし、定番のカードゲームである
トランプは1~13で構成されていることからむしろ比較的なじみやすい数なのでは
とさえ思います。
で、そこで気になったのが西洋でのトランプ事情なのですが、
イタリアは1~10で構成される40枚が常識らしいです。
また、スペインはNaipes(ナイペス)という名称で1~12の48枚構成です。
なるほど、やっぱ"13"は避けているのか、とそこで納得して終わりと
すればよいのですが、私が昔聞いていたトランプが52枚の理由は
何だったのだろう?と疑問が生まれました。
(1年は365日で、スートは季節をあらわし、52週+ジョーカーの1日説です)
なんか色々後付があるようなないような……
まあ調べてみると色々おもしろかったりします。
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