映画 ~害虫~

害虫(がいちゅう)

配給: 日活

監督:塩田明彦(しおた あきひこ)

脚本:清野弥生(きよの やよい)

出演:宮崎あおい

公開日:2002/03/16

ジャンル:ヒューマン、青春


「害虫」はいつもふて腐れた表情をしている登校拒否中で母子家庭の中学生少女を主人公として、その少女と周囲の人たちとのやり取りを描いた映画です。


中学生少女が主人公ですが、青春物というよりはある種のアンファン・テリブル(おそるべき子供たち)物としたほうがいいと思います。


監督は京都舞鶴出身の塩田明彦さんで、他にも「黄泉がえり」等の監督をされています。


主演の宮崎あおいさんをはじめ、同級生役に蒼井優さん、母親役にりょうさん、その他、こんな役にこんな人が出演するの!?っというような出演者さんもいます。


また、挿入歌で用いられている櫛引彩香(くしびき さやか)さんが歌う「帰り道」の作詞・作曲はスピッツの草野正宗さんだったりもします。



あらすじ


主人公の北サチ子(きた さちこ)は母子家庭で育つ中学生です。

母親(りょう)はサチ子を残して自殺しようとした過去があり、家庭は機能不全を起こしています。


また、サチ子自身も小学生のときに教師(田辺誠一)に恋をしていたようでその教師の家まで遊びにいったこともあるようです。

それが理由かどうか定かではありませんが、その教師はすでに教員を辞めて今では秋田の原子力発電所で働いています。

ただ、サチ子と文通のやり取りを続けています。


母親の自殺未遂が原因か、教師との恋愛が原因か、それともただ単に性格的なものか、サチ子は中学校に行っていません。

正義感が強く、世話好きな同級生、夏子(蒼井優)はサチ子に学校に来てくれるよう、毎日サチ子の家まで迎えにいっています。

そんな行為をどう思っているかわかりませんが、サチ子はいつもどこかでブラブラしているようです。


ある夜のコンビニの帰り道、サチ子は不審な男に後をつけられています。


サチ子は身の危険を感じますが、そのとき、一人の青年が助け舟を出してくれました。

サチ子はその青年、タカオ(沢木哲)と浮浪者でたまたま出会ったキュウゾウさん(石川浩司[たま])と行動を供にして他愛のない遊びをして過ごしたりします。


そんなサチ子ですが、何事もなく日々を平穏に過ごし続けられるわけではありません。


サチ子は気づいていませんが、タカオは暴力団と思われる男達とトラブルを抱えているようです。

母親は新しい男を見つけたようで、サチ子の暮らす家にその男がやってくることがあります。


サチ子にとって周りの人間の多くが害虫なのか、それともサチ子が害虫なのか、常に何を考えているかわからない女子中学生が周囲を振り回していきます。



感想


冒頭にある種のアンファン・テリブル物と書きましたが、この作品に出てくる大人もだいたいが少しおかしいところがあります。


ただ、後半から最期にサチ子が選択した行動には謎が多く残っています。

小学生時代に好きだった教師を破滅させてしまったから自分もあえて破滅への道を歩もうとしているのか、それともただ単にそのときそうしたいと思ったからしたのか、常に不貞腐れている表情をしているためどうとでもとれるような気がします。


周囲の人間については善悪の差があれ、行動動機は何となく理解できそうです。

しかし、主人公であるこのずっと不貞腐れている少女がいったい何を考えているのか、色々と考えられることはできるのですが、明確な答えが出せないあたりがこの映画の魅力なのかもしれません。


ただ、もう一人、同級生の夏子についてもサチ子と対比のための聖人的な存在なのか、それとも独善的偽善者的存在なのかちょっと迷いました。

どっちでもとれそうではありますが、ひょっとしたら何か見落としがあるのかもしれません。


物語の前半に学校玄関で靴を履き替えるシーンとサチ子が教師の部屋でレコードを足を使って再生しようとしたシーンでそれぞれ足元をアップで映すシーンがありましたが、どんな意図があったのでしょう。

地に足がついている人とふわふわしている人の対比なのか、それともただ単に足フェチなのか。


ちなみに作中で1番驚いたのは大森南朋さんがあんなチョイ役で出演しているところでした。



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