禁猟区
著者名: 乃南アサ(のなみ あさ)
出版社: 新潮社
発売日: 2013/05/07
ジャンル:サスペンス、犯罪
「禁猟区」は乃南アサさん著作の警察犯罪と監察官を題材とした四つの短編で構成されているサスペンス小説です。
あらすじ
表題作であり、ホストに通う警察官を描いた「禁猟区」。
暴力団壊滅を目的とする組織犯罪対策課に務める一方で病に苦しむ子供を持つ主任捜査員の迷いを描いた「免疫力」。
上司や同僚からの評価は低い一方で、記者からの評価は高く、ある時効間近の事件に執念を燃やす刑事を描いた「秋霖(しゅうりん)」。
そして、本作品の監察官である主人公がストーカー被害にあう「見つめないで」。
上記の4編から構成されています。
感想
この作品の主人公は若手の女性監察官、沼尻いくみです。
小説は一人称視点が切り替わる構成となっているのですが、各編の監察対象者の視点と、主人公である沼尻いくみの視点を中心にして物語が進むため、読みやすいと思います。
監察官とは簡単に言うと国家機関に勤務するものの行為が適切かどうかを監視する立場であり、言ってしまえば警察用の警察です。
この作品は前回紹介した映画「ポチの告白」の腐敗しきったような状況ではなく、監察官が証拠をしっかりと集めて罪を糾弾しようとする場面があり、同じ警察犯罪を扱った作品とは言っても比較的すっきりする作品だと思います。
(まあ、決定的で重要な違いとして、扱っている内容が"個人の暴走"か、"組織的行為"かという点があるのですが)
ちなみに有名な監察官といったら誰になるのでしょう?
「相棒」の神保悟志さんが演じる大河内監察官でしょうか。
「踊る大捜査線」の柳葉敏郎さん演じる室井慎次も監察官だったときがあったはずですが、そんな印象は強くないですね。
ただ、警察物であれば監察官は比較的登場させやすい役割でもあるため、そういった視点で見るのも面白いかもしれません。
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