映画 ~ポチの告白~

ポチの告白

配給:アルゴ・ピクチャーズ

監督:高橋玄

脚本:高橋玄

出演:菅田俊、野村宏伸

公開日: 2009/01/24

ジャンル:ドラマ、犯罪


「ポチの告白」は警察の組織犯罪を題材とした社会派ドラマ映画です。


主人公の竹田八生巡査(愛称タケハチ/菅田俊)は体は大きいが、雰囲気は柔和で

まじめな模範的お巡りさんとして交番勤務をしている場面から物語が始まります。


その真面目な仕事ぶりを評価した三枝刑事課長に抜擢され、

タケハチは刑事へと昇進し、三枝刑事の部下となります。


三枝刑事への恩義から、タケハチは上司、また警察という組織に忠義を

尽くすようになります。妻がいるにも関わらず上司の命令で警察寮に入れと

命じられれば寮に入り、生まれた娘には命令で上司の初恋の人の名前を

つけるというありさまです。


ここまでは単に社会の理不尽な上下関係というだけの捉え方もできるのですが、

実は三枝刑事はその立場を利用した悪徳刑事であり、タケハチにも上司の命令と

いう形で脱法行為をさせるようになります。タケハチも最初は躊躇しつつも、

義理人情が悪いほうに働き、少しずつ汚職に手を染めていくことになります。


また、タケハチとその上司に限らず、タケハチの後輩や交番のお巡りさんが

大なり小なり悪事を働きます。


わざと盗難自転車を放置して点数稼ぎするようなものから、

未成年者の売春を見逃す代わりに金銭を受け取ったり、

架空の請求書を作成して税金を私的に流用したりと様々です。

いじめられっこだった人間が警察官になって難癖をつけて交番まで

連れて行き暴力を働くという場面もあります。


この映画では監察室や公安委員、検事や裁判所、マスコミも含めてほんの一部を

除いて、保身が大事、身内が大事ということで情報統制や証拠の揉み消しが見られます。

日本独特のシステムといわれている「記者クラブ」の批判的な描かれ方も見れます。


この映画、3時間以上の上映時間となっており、結構長いです。

ただ、私は無駄に長い印象は受けませんでした。

やっていることは悪事や不正、証拠のもみ消しばかりで不思議でしたが、

怒りや怖さや悲しさが物語に緊張感を与え続けているかもしれません。


ある意味でやくざ映画やマフィア映画より怖い映画です。


私たちは納税者様であり、警察は納税者様の生命・身体・財産を保護するために

存在していると虚勢をはってもいいですが、納税者は組織として強いわけではありません。

警察様のいい意味でも悪い意味でも強力な組織には誰もかなわない、そして、

そんな強大な組織の中ではどんな人間であっても組織のためのイヌになってしまい、

ひいては日本が法治国家であるとはただの虚構に過ぎない、

そんなリスクもありえますよというちょっと怖いお話です。


マンターンのBLOG

過去に見た小説や映画の内容の備忘録 更新停止中 工事中 → https://manturn.blogspot.com/

0コメント

  • 1000 / 1000