終電車
原題: Le Dernier Metro
配給: SEDIF Productions(東宝東和)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデュー
公開日: 1980/09/(日本 1982/04/10)
ジャンル:ドラマ(演劇・舞台)
「終電車」はドイツ占領下にあるフランスのある劇場を舞台としたフランス映画です。
フランス映画の巨匠フランソワ・トリュフォー監督作品の中でも人気があるようです。
あらすじ
映画の冒頭、フランスの大衆歌謡シャンソンの名曲「サン・ジャンの私の恋人」がオープニングクレジットと共に流れ、その後、映画の舞台の状況を説明するナレーションが入ります。
パリ 1942年9月 2年来 独(ドイツ)軍がフランスの北半分を占領
占領区と非占領区が南北に分断された 夜11時以後は外出禁止
終電車に乗り遅れたら大変だった 人々は食料を求めて何時間も並んだ夜は寒いので劇場に殺到した 映画も芝居も満員 席の予約も大変だった
モンマルトル劇場は稽古中だった しかし 座長のルカ・シュタイナーは
国外に逃亡 彼はユダヤ人だった
と、時代背景、タイトルの由来、この作品が劇中劇もあることを端的に説明してくれています。
この映画の主役マリオン(カトリーヌ・ドヌーヴ)の視点をメインに、ルカが推薦する新しい演目「消えた女」の成功のための活動の様子を、稽古や外交営業、周囲の人間の行動を通して見ていくことになります。
ドイツ軍と交友のある演出家のジャン=ルー(ジャン・ポワレ)や、相手役として新たに迎え入れる俳優ベルナール(ジェラール・ドパルデュー)の協力、そして、ルカも実は国外逃亡などしておらず、地下室に住み続けており、そこから舞台に関した事をマリオンに助言する形となっています。
感想
ドイツ占領下ということでユダヤ人は迫害されており、そうした中でドイツ軍と仲良くするものやレジスタンスとして密かに活動するもの、ただひたらすら自分の目標のために様々なことに挑戦するもの、地下室でずっと孤独に行き続けているもの、戦時中のフランス市民の片鱗もこの映画を通してみることができます。
戦時中のドイツ占領下の話ではありますが、残酷すぎる暴力シーンや理不尽すぎて目を塞ぎたくなるようなシーンはなかったと思います。
やはりカトリーヌ・ドヌーヴさん演じるマリオンの奥深いというかなんともいえない存在が目を引くのですが、ベルナールの情熱的な行動も個人的にはよかったです。
(全体的に派手なシーンが少ない分、目立っていただけかもしれませんが、その行動があるからこその本作の「転」があると思うので)
ラストシーンは驚嘆ではなく、「あ、そうなるのね」の印象を持ちました。
映画の作品としてはあれでいいと思うのですが、物語としては舞台外で各登場人物がどんな関係になっているのか釈然としない面があります。
まあ、この映画でそんなことを考えるのは野暮というものなのでしょう。
英題は「The Last Metro」です。
"metro"と"subway"と"train"で何が違うのかを調べるだけでも勉強になります。
また、日本語であれば"終電車"も"終電"も"最終電車"も意味は一緒だと思いますが、その中で1番聞きなれない言葉であると思っている「終電車」がこの映画の邦題です。
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