終末のフール
著者名: 伊坂幸太郎
出版社: 集英社
発売日: 2009/6/30
ジャンル:SF、ヒューマン
「終末のフール」は伊坂幸太郎さん著書のSF・ヒューマンドラマ小説です。
8年後に小惑星が地球に衝突すると予告される部分がSF要素なのですが、
予告直後のパニック状態ではなく、その5年後の小康状態が作品の舞台です。
よって、SF要素はほぼないといっていいかもしれません。
3年後に地球が滅亡する中で、後悔や出産、復讐、恋愛といった様々な
題材の中でどのように生きているか、生きていくかが書かれています。
8つの短編で構成されていますが、舞台の場所が仙台市、時系列も3年後に
地球が滅亡の状況は統一されており、各話に違う回の登場人物が出演すると
いったオムニバス形式となっています。
8年後に地球が滅亡するというテーマで短編が8つあるというのであれば、
1年で1作品としてよりいろいろなテーマを取り扱うこともできそうですが、
この小説はあくまで3年後、地球が滅亡するという状態を描いている
ことが大切だと読んでいて思いました。
伊坂幸太郎さんが好きな方がいていろいろ本を借りていたため、
「アヒルと鴨のコインロッカー」や「重力ピエロ」、
「あるキング」等、いくつか読んでいますが、本作は短編であり
比較的読みやすいのではないでしょうか。
(個人的には映画も含めて「重力ピエロ」が1番好きです。)
尚、8つの短編のタイトルは次のようになっています。
終末のフール
太陽のシール
籠城のビール
冬眠のガール
鋼鉄のウール
天体のヨール
演劇のオール
深海のポール
と、「△△の○ール」の形になっています。
なお、私が最初に読んだときは「ヨール」という単語を知らなかったため、
この話だけ無理矢理「夜」を「ヨール」としたんだなと思い込んでいました。
(作中で実際に下記の文章もあったし、仕方ないね……)
「夜だよ、夜、ヨール、ヨール」と夜コールを繰り返した。
「ヨール(yawl)」が帆船の一種の「ヨール」だと後で気づけたのは、
TOEICのおかげであり、PART1の写真問題で船と港の写真があったのですが、
選択肢Aの音声を聞いて確か「vessel」と言っていて多分これが正答だと
思っていたらその直後に「boat」やら「ship」とかクソ細かい個人的に
どうでもいい違いを判別する問題があり、それの印象が強く残っているからです。
否定的な意見もありますが、TOEICも役に立ちます。
※ただし、上記、船の問題は恐らく公式問題ではなかったと思います。
話を戻して私が好きなのは「鋼鉄のウール」と「天体のヨール」でした。
「鋼鉄のウール」の苗場さんがかっこいいから好きという方が多い気がします。
以下は苗場さんの台詞です。
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
文字だから想像するほかないけれど、苗場さんの口調は丁寧だったに違いない。
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
こちらの作品は他メディアへの展開がないのですね、少し意外でした。
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